窓枠に座って
ボクは2月の生まれだから、冬の寒さを知っている。
でもあの時は母さんと一緒だったから、そんなに寒いと思ったことはなかったんだ。
ここのところ、朝の寒さで目を覚ますことが多くなった。とーちゃんちの窓が開くのは、かーちゃんがお掃除を始める9時すぎから夕方暗くなるまで。それ以外の時間、ボクは話し相手もなく、陽だまりでお日さまの光を浴びながらカラダを暖めて待つしかないんだ。
うりさんやみかんが心から羨ましいと思うのはそんな時。
窓から部屋の中を覗くと、うりさんがお腹を上にして伸びたまま眠ってる。(ネコがこの姿勢で眠る時、部屋は25℃以上なんだそうだ。)
みかんはかーちゃんのお膝に座ってテレビを見ている。あったかいんだろうな、柔らかなんだろうな...。
網戸越しにうりさんやみかんとお話ししてると、ふたりは『ジロちゃんも早くお部屋に入れてもらえるといいのにね。』って励ましてくれる。
でも、ボクは野良猫。
センセイが言ってたように、このおうちの仲間に加わるには少し大人になり過ぎちゃったし、行き倒れる前にケンカした他のネコから恐ろしい伝染病をもらっているかもしれないし、何と言ってもオスなんだ。
カリカリを食べたいだけもらって、ジローはこで寝て、こうして窓枠に両脚を踏ん張って、みかんと網戸越しに遊べるだけで全然平気さ。
ボクは今日も窓枠に座ってテレビを見る。ホントに見てるのはテレビじゃなくて、暖かそうで柔らかそうなかーちゃんのお膝なんだけれど。