ネコの恩返し③
計画スタートから2ヶ月、朝目覚めてリビングに出て来たボクは、自分の目を疑った。
みかんがばあちゃんに抱っこされていた!
ばあちゃんは小さい時に引っ掻かれたんだか噛み付かれたんだかでネコが大嫌いで、ネコがそばを通るだけで、まるでゴキブリが飛んで来たみたいな悲鳴を上げて、後ずさりをする人だったはずなのに!
この2ヶ月、ばあちゃんが玄関から入ってくると、みかんは長い尻尾をピンと立てて、どこからともなく一目散にばあちゃんの足元に駆け寄って、スリスリと身体を寄せ、脚をペロペロなめるのを繰り返した。
ばあちゃんがイヤがるとサッと引いて前脚を揃えて正座して、あの黒目がちのまん丸なお目々でばあちゃんを見上げる。
『この子はホント美人やねぇ〜。』
ばーちゃんがそう言うと『ウニャァ。』とおでこをスリスリ。
もちろん最初のうち猫に触ったことも舐められたこともないばあちゃんは『ギャッ!』だか『ヒャッ!』だか悲鳴を上げて逃げ回っていたけれど、怖がられても嫌がられても、ひたすらずっと同じ歓待を繰り返してたみかん。
ちーちょ兄さんも、うり姐さんも決して撫でることも触れることすらもなく...そんなばあちゃんが今朝みかんを抱っこして、頭をナデナデしていたんだ。
『旅行の間、エサとトイレの世話だけお願いできるかな?』
『いいわよ。ね、みかんちゃん、ワタシで良かったらよろしくね♪』
ボクはみかんのことを心底スゴイと思った。