尊敬

ボクがこの家にやってきてから、うり姐さんはオトナになった...らしい。

ちーちょ兄さんが天国に旅立ってから、みかんがやってくるまでの2年間、うり姐さんはこの家でひとりっ子として過ごした。
かーちゃんのお膝は独り占めだし、カリカリはいつでも自由に食べられたし...ちーちょ兄さんがいた時は遠慮がちに過ごしていたうり姐さんにとっては、スッバラシイ日々だったみたいだ。

ボクらがやって来てから、ボクたちの前でうり姐さんは決してかーちゃんのお膝に乗らなくなった。とーちゃんが抱き上げると、大暴れして下りようとする。
まるで『コドモたちの前だからヤメて！』って感じ。でもボクは知ってるんだ。ボクたちが2階に居る時、時々かーちゃんのお膝に乗ってゴロゴロ喉を鳴らしているのを(笑)
だからボクはうり姐さんが甘えてる時はなるべく近づかないで見て見ぬフリをすることにしている。
それが後輩ネコとして最低限の気配りだと思うからね。

そんな平和な時間をいつも台無しにするのがみかん。
まだコドモなだけで悪気はないんだけど、みかんは無邪気で無遠慮で乱暴で、ボクやうり姐さんの邪魔ばかりするんだ。

薪ストーブの前でのんびりしていると、いきなり『遊ぼ！遊ぼ！』ってのし掛かってきて、無視すると所構わず噛み付いて『ヤメレ〜！』って叫ぶと面白がってもっとヒドいことになる...うり姐さんも仕方なく追いかけっこに参加したり、ネコパンチ合戦させられたり（苦笑）

でも、うり姐さんがスゴイなって思うのは、８才なのにとっても身軽で、２m以上ある本棚の上やドアにひとっ飛びで上れちゃうところ。

ボクなんて半分の高さだって上がれないし、高い所ではフラフラして背中から落っこちちゃうんだ。割と身軽なみかんもうり姐さんの真似をして必死で跳ぶんだけれど、うり姐さんの高さには届かなくて...だから最近のうり姐さんは高いところで寝ていることが多い。

ネコの世界では高い場所にいるネコが上位って決まってるので、年上ってだけじゃなくて、一番高い場所に登れるうり姐さんがボクらのボスなんだ。

ちょっぴりシャイで控えめだけど、時々優しくて...ボクのお母さんでお姉さん。

うり姐さんの家族になることが出来て、ボクはとても幸せなネコなんだ。