人間床暖房
ボクがこの家に来て4回目の冬。薪ストーブが燃えてる時はストーブのそばが一番快適だけど、ストーブを焚くほどでもない夜は"人間床暖房"=かーちゃんのお膝の争奪戦なんだ(笑)
うり姐さんは優しいからボクらに譲ってくれるけど、みかんは遠慮ってものがないから、いつもかーちゃんのお膝でスヤスヤ。ホントはボクもかーちゃんのお膝に載って居眠りしたいんだけどな。
ちなみに、みかんは狭いとこが大好きなので、夜になるとベッドで寝てるとーちゃんとかーちゃんの間に潜り込んで朝まで眠る。ネコにしては珍しく男のニンゲンが好きみたいで、かーちゃんが先に寝ちゃった夜は寝室の入口でちょこんと座って、リビングのとーちゃんをじっと見つめて待ってて、とーちゃんがベッドに入るとすかさず体の上に乗って、布団越し(タオルケット越し)に前脚でフミフミして、その後で脇の下や股間の谷間に入って眠るんだよね。
たぶん、みかんはともちゃんは子猫の時にお母さんや兄弟たちと離れ離れになって戸田のオリンピックコースの水辺を彷徨ってた時の不安と、にーちゃんに拾われて一緒に暮らした安心感...そんな子猫の頃が忘れられないのかもしれないなって。
閉所恐怖症のボクはお布団の中なんてまっぴらごめんだけどさ。
ちーちょハウス
真冬って言っても、この辺はそんなに寒くなくて、お天気の良い昼間、かーちゃんがお掃除してる時にはベランダのドアが開いてることもある。
そんな時は、みかんが『開いてましゅよ〜♪』って知らせてくれるので、ボクとうり姐さんはサンルームからいそいそと2階のベランダに出るんだ。
サンルームも屋根が透明だから陽当たりは良いんだけど、やっぱり風に当たりながらの日向ぼっこは気持ち良いんだよね。
今日はベランダに置いてあるちーちょ兄さんの家に入ってみた。兄さんが子ネコの時にとーちゃんが作った屋根が開いてお掃除出来るようになってるこの家はもう20年近く前のものなんだけど、兄さんはあまり入ってくれなくて、とーちゃんは残念がってたらしい。
ボクとうり姐さんが順番に入ってたら、かーちゃんが写真を撮ってとーちゃんに送ってた。とーちゃんは大喜びしてたみたい。
こんなことで喜んでくれるんだったら毎日でも入ってあげるけどね。
薪ストーブとパインの床
野生の生き物は火を怖がるって言われているけど、とーちゃんによるとそれはケースバイケースらしい。
とーちゃんがボーイスカウトでキャンプしてて、キャンプファイヤーを囲んで座ってる時、ふと気が付いたら隣に野うさぎがちょこんと座ってたことがあったらしいし。
ボクらネコも同じ。
飼い猫になって、生まれて初めてストーブを見た時、怖いというよりもあったかいなぁって思わず近づいてしまったもん。
ちーちょ兄さんは初めて薪ストーブを焚いた時、近付きすぎてヒゲを焦がしてダリみたいになってたらしいけど、ボクらはうり姐さんから薪ストーブについて色々と教わっていたので、火傷することもヒゲを焦がすこともないんだ。
これから春までずっと火が落ちることなく、ボクらを暖め続けてくれる薪ストーブ。
一度壁や床が暖まると、もしとーちゃんたちがお泊りでお出かけしても、2日ぐらいは20℃以下になることはないし、この家は壁も床もパインという空気をたっぷり含んだ柔らかな木の無垢なので、肌触りが優しくてひんやり感じることがないしね。
(そのせいでボクらが走り回るだけで傷だらけになって、まだ20年ぐらいなのに古い小学校の校舎の床みたいになってるけど...涙)
外で暮らすノラネコのみんなにはホント申し訳ないけれど、ボクにとっては一番のお気に入りなんだよね。
金色の顔
今年も冬がやってくる。
薪ストーブを焚くにはちょっと早いけど、夕方になって日が落ちてボクらネコが丸まって寒そうにしていると、とーちゃんはサンルームに置いてある石油ストーブを点けてくれるんだ。
点けてすぐはちょっと臭くて別の部屋に逃げるんだけど、しばらくすると暖かさに呼ばれるみたいにボクらはストーブのそばに集まって、顔を金色に光らせつつその炎を眺めながら寛ぐんだ。
焚けば焚くほど空気がキレイになる薪ストーブと違って、石油ストーブはすぐに息苦しくなるし、そんなに暖かいわけではないんだけど、それでもやっぱりボクらネコにとって、このほんのりとした暖かさは"正義"なんだよね(笑)
ストーブのそばに座ってウトウトと居眠り...飼い猫になってヨカッタ!って思う瞬間だな。
アオバズクさんのお話
春から夏になって、2階のベランダで過ごすことが多くなった。
これまでは両開きのスクリーン式網戸が入ってたんだけど、ボクら3匹が下をすり抜けて何度も出入りしてるうちに壊れちゃって、とーちゃんがカーテンタイプでマグネットで閉まるのに取り替えてくれたから、前よりずっと出入りが楽になった。
でも前より隙間が多いのかな?虫が入ることも多くなって...ボクらは室内で虫捕りを楽しめるようになって嬉しいんだけどね。
ここで過ごしていると、まるでノラネコに戻ったみたいな開放感があって、風を感じられて、鳥さんや虫さんと触れ合うことも出来る。もちろん前の道路を歩いてる人に話しかけられることも多くて、1日があっという間に過ぎるんだ。
夜になるとまん丸なお月さまがボクらを照らしてくれるし、星空は綺麗だし...そうそう、今夜は鳥さんなのにうり姐さんにそっくりなアオバズクさんが北の国から戻ってきた。
彼とはノラネコ時代にカエルやトカゲを奪い合ったライバルで、良くグチを聞いてもらった友達なんだ。
『おっ、ジロちゃん、久しぶり!それにしても太ったなぁ〜!』
まだ奥さんが到着してないから、アオバズクさんもヒマだったのか、ベランダの目の前の電柱のてっぺんに留まって、ホッホー、ホッホーって鳴きながら、北の国からのアドベンチャーの話を聞かせてくれた。
ボクなんて、サンルームからちょっとだけ外に出るだけで、不安で怖くてすぐに家に戻りたくなっちゃうのに、アオバズクさんは何千キロも飛んで、海を渡ってロシアとかまで行けちゃうんだもんな。
ホントに尊敬しちゃうよね。
男の中のオトコってのは、アオバズクさんみたいな人...じゃない鳥のことを言うんだろな。