オスネコの宿命

f:id:Noranekojiro:20171206092759j:image

こんなにぐっすり眠ったのは生まれて初めてかもしれない。

ボクはオスとして生まれて来て、母さんと別れてからは1人で生きてきた。野良ネコのオスってとっても大変で、独り立ちした途端、周りが全部敵になるんだ。

 

居心地のいい場所は、先輩のオスたちの縄張りで、うっかり入ると恐ろしいうなり声をあげて大きな身体の先輩たちに追い払われてしまう。

ボクは和猫の血統なので、目が三角で怖い顔をしてるけどどちらかと言えば気が優しいたちだし、しっぽがないから、速く走ったり高いところでバランスを取るのが苦手だ。

f:id:Noranekojiro:20171206092837j:image

 

とーちゃんちに来た時は、それまで栄養状態が悪かったせいで、生後6ヶ月にもなってまだカラダが大人になってなくて、センセイが去勢済みだと勘違いしたぐらいだったので、オトナのオス同士のメスや縄張りをめぐる本気のケンカに加わることはなかったけど(おかげで噛まれたり引っ掻かれてケガしたりしなかったので伝染病にならずに済んだ)、それでもいつ襲われるかわからないから、ぐっすり眠ることなんてなかったんだ。

f:id:Noranekojiro:20171206092915j:image

 

でも、とーちゃんちに入ればもう安心。

優しいお母さんみたいなうり姐さんと、お人好しで(...でちょっぴりおバカな)みかんという2匹のメスはボクを襲ったりしないし、木登りしてセミや小鳥を捕まえなくても、いつでもカリカリを食べることが出来る。

おうちはどこでも出入り自由だからとても広くてまるでジャングルジムみたいに立体的なので飽きないし、おうち全部が木だからどこで爪研ぎしても叱られないし、サンルームやベランダでは外にいる時と同じだけお日さまを浴びることが出来る。

 

ボクはサンルームの窓から外を眺め、イロイロなことに思いを馳せたんだ。

あ、でもとーちゃんやかーちゃんが『やっぱりジロちゃんはお外が懐かしいのかな?』なんて誤解しないように、外を眺めるのはなるべく控えてるんだけどね(笑)