3つのトイレ

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夕ご飯のカリカリを食べていたら、背後にただならぬ気配を感じた。
振り返るのが怖くて、気づかないフリをしてたら、いきなりかーちゃんが薪ストーブ用の分厚い革手袋をした両手でボクの身体ををガッチリ捕まえた。

痛いよ、そんなに強く抱っこしないで!
ボクは爪を出してホンキのネコパンチで応戦したけど、500℃でもOKの極厚革手袋には爪が刺さらず、あえなく捕獲。無理矢理にケージに入れられてしまった。

そのままクルマに乗せられ、センセイの病院へ。猫AIDSと白血病と三種混合と...何度もセンセイの病院に連れて来られてるし、今日もチクっとお注射なんだろうなって思って油断してたら、とーちゃんとかーちゃんが『頑張ってね!』って言って帰ってちゃったんだ。

ひとり病院に残されたボク。

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目を覚ましたら、首輪の代わりに透明の変な襟巻きが巻かれていて、何となく下半身に違和感。も、もしや...

しばらくして、とーちゃんとかーちゃんが病院にやってきて、ボクをケージに入れてくれた。クルマに乗ってとーちゃんの家に着くと、いつもケージの扉を開けてくれるウッドデッキを通り過ぎて、玄関のドアの中に入った。
も、もしや...

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ボクの直感は当たりだった。
ケージの扉が開くと、真っ先にみかんが駆け寄ってきて、僕の顔をペロペロペロペロ...15分以上だったかな?あまり強く舐めるので、ボクは鼻がヒリヒリするほどだった。
みかんが舐め終わると、今度はうりさんがやってきて、ボクのお尻をペロペロペロペロ...子猫の時に便秘になって母さんに舐めてもらって以来だったので、くすぐったくて嬉しくて、もう天にも昇るような気持ちになった。

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8月の初めにここにやって来て以来、今日でちょうど2ヶ月。
ずっと窓の外から覗いてたとーちゃんち。
ボクはみかんに案内してもらって、室内を歩き回る。

『ジロちゃん、ここがね、ゴハン食べるとこ。』

『ほら、薪ストーブ。下に入るとあったかいのよ。』

『サンルームはね、日光浴にサイコーなの。』

『2階もね、自由に入っていいのよ。』

 

と、ところで、トイレをお借りしてもいいですかね?
みかんに案内されて2階の踊り場に行くと、そこにはトイレが3つ...。

ボクはこの家の一員になったんだなって。

心からそう思えた瞬間だった。